腎炎の発生機序
循環免疫複合体(CIC:circlating immune complex)型 腎臓以外の臓器(上気道・肝・胆道系・腸管系・皮膚など) で形成された 免疫複合体が流血中を循環し,糸球体に沈着することにより惹起される糸球体腎炎。
大部分の原発性 ・続発性糸球体腎炎


抗糸球体基底膜(GBM)抗体型 GBMに対し 生体が自己抗体を産出しと反応することにより 生じる。
腎炎の数%だがその2/3はGoodpasture症候群
急速進行性糸球体腎炎の約半数


免疫グロブリンや補体沈着を伴わない腎炎(pauciimmune型) 抗好中球細胞質抗体(ANCA)が関与したものが多い。
c-ANCA:Wegener肉芽腫
p-ANCA:突発性壊死性半月体形成性糸球体腎炎

糸球体腎炎の臨床的分類(5型)
@急性腎炎症候群
突然,血尿・蛋白尿・高血圧・浮腫・腎機能低下などが現われる
溶連菌感染後糸球体腎炎。起炎菌はA群β溶血性連鎖球菌が多い
潜伏期:10日前後
検査:ASO・ASKが高値,C3・CH50が低下
小児では80〜90%が治癒, 成人では約半数が慢性化
溶連菌感染後急性糸球体腎炎, 半月体形成性糸球体腎炎, 膜性増殖性糸球体腎炎など


A急速進行性腎炎症候群 血尿、蛋白尿があるいは急激に現れ、急速に腎不全に陥る
半月体形成性糸球体腎炎 ,Goodpasture症候群, 膜性増殖性糸球体腎炎など


B反復性・持続性血尿
然あるいは突然肉眼的血尿を含む血尿が発見されるが, 尿蛋白は少量か陰性で,他の腎炎症状は見られない
巣状増殖性糸球体腎炎, IgA腎症, IgM腎症, び漫性増殖性糸球体腎炎, 膜性増殖性訴求体腎炎, 巣状糸球体硬化症, 硬化性腎炎, Alport症候群

C慢性腎炎症候群
蛋白尿・血尿・高血圧が持続し, 慢性に腎不全へと進行する
大半をIgA腎症が占める。IgA腎症の約50%で血清IgA高値。20%は10〜 20年の経過で腎不全
び漫性増殖性糸球体腎炎 硬化性腎炎 IgA腎症 糖尿病性腎症 腎アミロイドーシスなど

Dネフローゼ症候群 診断基準
 必須条件
1)蛋白尿:1日3.5g以上を持続
2)低蛋白血症:TP≦6.0g/dl あるいは Alb≦3.0g/dl

 付帯条件
1)高脂血症:T-CHO≧250mg/dl
2)浮腫
3)尿沈渣中に多数の卵円型脂肪体、 重屈折性脂肪体の検出
一次性ネフローゼ:微少変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、膜性腎症など
二次性ネフローゼ:全身性エリテマトーデス、糖尿病、アミロイドーシス